昔話の場面は、人物が一対一で構成されるという大原則があります。ひとつの場面に何人もがいて、まじりあいながら話したり行動したりするというような、ややっこしい複雑な場面を、昔話は好まないのです。
たとえば、主人公対敵、主人公対援助者、援助者対敵。というように、すっきりした場面構成になっています。だから、聴いてわかりやすいのです。
なるほど~ 「語りの森」の ≪外国の昔話≫ と ≪日本の昔話≫ から具体例をさがそう。
あ、でも、七人の小人とか、七匹の子やぎはどうなんだろう。
そうですね。七人の小人はたしかに複数ですが、ひとりひとりが個性的に行動するのではなく、七人でひとまとまりです。七人で一単位。だから、「七人の小人」対「白雪姫」の一対一と考えることができます。
具体的に見てみましょう。
そして、場面が一対一で構成されるということは、時間の一致と深くかかわっています。
七人の小人と白雪姫が一対一。小人が出かけてからは、お妃がやって来て、お妃と白雪姫が一対一。お妃が戻っていってしまってから小人たちが帰って来て、小人と白雪姫が一対一。時間の一致がなければ、三者が鉢合わせします。大混乱の場面が想像されますね(笑)
そうか、現実の生活では一対一の場面ってあまりないよね。やっぱりこれも抽象性のあらわれなんだ。